【独自】「無言でナイフを」生徒が語る恐怖 
教員切り付け事件“緊迫の一部始終”

  


 17歳の高校生が教員を切り付けたとして逮捕された事件。高校生は、新たに複数の刃物を所持していたことが分かりました。番組では容疑者が押し入った教室にいた生徒に話を聞くことができました。「教室の後ろから侵入、無言でリュックからナイフを取り出した」と緊迫の一部始終を語ってくれました。

■生徒が語る恐怖…「無言でナイフを」 緊迫の一部始終

 学び舎はまだ、物々しい雰囲気に包まれています。1日、教員が切り付けられた戸田市内の中学校。2日は2時間半遅れ、集団登校での再開です。

 保護者:「(期末)テストは延期になって、あした(きょう)は子どもの心のケアを。ちょっとした変化を見逃さないようにしないと。多感な時期なので」

 逮捕された17歳の高校生、新たな事実が分かりました。事件が起きたのは1日昼すぎのこと。試験中の教室に侵入しようとして男性教員(60)を切り付けた少年。捜査関係者によりますと、犯行で使用されたとみられるナイフの他にも複数の凶器を持っていたことが分かりました。警察は、強い殺意があったとみています。

 新たな供述も分かりました。自転車で学校を訪れ、正門から入る被疑者とみられる人物が防犯カメラに映し出されていました。さらに「確実に学校がやっているため、この時間を狙った」と供述しています。被疑者名義の自転車が正門付近の路上で押収されています。

 同じ教室にいた生徒に当時の状況を聞くことができました。

 同じ教室にいた生徒:「4時間目のテスト中に急に(教室の)後ろから入って来て、ナイフを取り出して、そのまま教師以外の皆が逃げた。(先生が)逃げろ逃げろと言っていた。皆、すぐ逃げました。外に逃げて、そのまま自宅に帰りました」

 現場は中学校の3階。どこから入って来たのかは分かっていませんが、1年生と2年生のクラスがそれぞれ3つあるうちの真ん中が狙われたクラスです。28人が在籍する1年生のクラスは当時、理科の試験中。教室の後ろの扉から入って来たそうです。

 同じ教室にいた生徒:「上下黒色で黒色のリュックを背負っていた。マスクはしていたと思う。(教室に)入った時は無言でリュックからナイフを取り出した」「(Q.なぜ気が付いた?)扉を開ける音で(気が付いた)。きょろきょろしていたと思う」

 試験官を務めていた教職員数人が確保しました。

 同じ教室にいた生徒:「倒しているところまでは見えた。押し倒して」

 その際、もみあった60歳の男性教員が複数回、切り付けられました。少年は容疑を認めています。

 逮捕された少年:「駆け付けた人を切り付けたことは間違いない。誰でもいいから人を殺したいと思った。人を殺すことに興味があった」

 同じ教室にいた生徒:「(Q.ショックを受けた生徒も?)いました。すごく怖かったんだろうなと」

 その生徒の父親もケアに努めました。

 保護者:「息子の無事があれば良かったので」

 けがをした60歳の教員は現在、治療中です。全治は分からず、重症です。

 保護者:「温厚で体育会系などではない。その先生も怖かったと思うけど、体を張ってくれて感謝しかない」「本当に感謝。教師・大人のかがみだなと」

 犯人は逮捕されたものの、疑問は残ります。

 孫が中学に通う人:「さいたま市の少年が、ここ(戸田市)へ来て、そういうことをするからびっくりです」

 少年が住むのはさいたま市。なぜ“戸田市”の中学校が狙われたのかです。

 今回の事件で逮捕された少年は「ネコを殺した」と供述していることが分かりました。

 ネコを見つけた人:「小さく見えたので、子猫かなと」

 周辺のさいたま市では先月、損壊されたネコの死がいが公園などに置かれる事件が相次いでいました。逮捕された少年の供述との関連は分かっていませんが、少年はさいたま市浦和区と近くに住んでいました。

 ネコの死がい発見現場の近所の住民:「動物がああいう状態で死んで(対象が)人間にもなるんじゃないかと聞いた。怖いなと思っていた」

■校内に侵入…学校はどう守れば

 1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件など、殺人に至る前にネコを殺していたケースは何度かあります。

 さいたま市内ではネコの死がいの発見を受け、警察が警戒を強化していました。この事件を受け、さいたま市内の中学校には警戒を強化するメールが届いていました。

 さいたま市内の保護者に届けられたメール:「現在、警察では学校周辺のパトロールを強化する等、警戒活動を強化しております」

 さいたま市民:「歩いて見回っているお巡りさん見掛けて、色々あったからかなと思った」

 元埼玉県警の佐々木氏も警察の体制は強化されていた可能性が高いとしています。

 元埼玉県警刑事・佐々木成三氏:「(ネコの事件は)決して小さな問題だと警察は認知していない。野放しにしていると大きな事案になる可能性があるため、態勢は整えていたと思う」

 今回事件が起きたのは、そのさいたま市ではなく“戸田市”の中学校。ネコの死がいの発見が相次ぎ、警戒が強化されたさいたま市を避けたのでしょうか。

 元埼玉県警刑事・佐々木成三氏:「最初に攻撃対象が優先ではなく、犯行に容易な場所を探していた可能性がある。入りやすいなどで、この場所が選ばれた可能性が高い。無差別殺傷において、そういうことは多い」

 気になるのは“学校の安全”です。

 事件が起きた中学校の保護者:「学校も警察官が警戒してくれるとか、教員が校内を見回りするとか対策するらしいので」

 2001年、大阪教育大学付属池田小学校では男が小学校に侵入。児童8人が死亡する痛ましい事件が起きています。教育現場は今回の事件にショックを隠し切れません。

 青稜中学校・高等学校、青田泰明校長:「海外であれば、ああいうことが起こることはあるかもしれないが、日本ではあまり想定はなかなかしづらいので驚きはある」

 品川区にある中高一貫校。警備員を配置するなど警戒をしています。ただ、保護者や関係者など出入りする人間が多いのも学校です。

 青稜中学校・高等学校、青田泰明校長:「常に校門を閉めるわけではないので、常にチェックする人は教職員以外にも必要になってくる」

 文科省は2018年、危機管理マニュアルを改訂。今回の事件も「複数の職員で対応」など、それに沿ったものでした。

 青稜中学校・高等学校、青田泰明校長:「子どもたちを守れたことは素晴らしかった。日頃からマニュアル含め、何か起こるかもしれない心構えを持つことが大事」


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